ロンドン生活、4年目
駐在員の家族として渡英した当時17歳の息子は、公立のSixth Form(シックス・フォーム)を経て、現在 Imperial College London (インペリアル・カレッジ・ロンドン)のUndergraduate(学部)で数学を学んでいます。
今回は、海外在住の経験がなく日本の公立校出身の息子が、どのようにイギリスの大学に進学したのか――その過程を、母親の視点からまとめました。
渡英した当初は、リアルな情報がほとんどなく、学校選びには手探りの連続でした。
同じように海外進学を考えている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
GCSE後、Sixth Formへ
イギリスでは、16歳で「GCSE(中等教育終了資格)」を終えた後、進路が大きく分かれます。
専門学校に進む人、就職する人、そして大学進学を目指して Sixth Formに進む人。
Sixth Formは日本の高校2〜3年生にあたる2年間ですが、カリキュラムは大きく異なります
専門性の高いSixth Form
Sixth Formでは通常3〜4科目を選び、各教科を専門的に深く学びます。
卒業時には「Aレベル」という全国統一試験を受け、その結果が大学出願時の重要な評価基準となります。
例えば、医学部を目指す場合は「数学・化学・生物」など、大学によってAレベルで必要な科目が指定されていることもあります。
さらに、各科目にはGCSEで一定のグレード(成績)を取っていることが受講条件になっており、学校の公式サイトには「Entry Requirements(受講条件)」が掲載されています。

息子の学校選び ー King’s College Maths School
息子はYear10のSummer TermよりMill Hill Internationalに通い、Year11の学年末にGCSEを受けました。(ここまでの経緯は過去のブログをご覧ください。)
Year 12〜13は、イギリスでは「Sixth Form(シックス・フォーム)」と呼ばれる2年間にあたります。
息子は当初、私立校の本校である Mill Hill School からオファーをいただいていましたが、この時点で十分な英語力がついていたため、学費のかからないState School(公立校)への進学を目指すことにしました。
*参考:渡英当初は英検準2〜2級レベルだった英語力が、1年半で IELTS 7.5 に。
若者の吸収力には本当に驚かされます。
息子は「大学では数学を学びたい」という明確な目標を持っていたため、まずは自分でSixth Formの国内ランキングを調べ、通学可能な共学の公立校をリストアップしました。
その中で出会ったのが King’s College Maths School(キングズ・カレッジ・マス・スクール)。
数学に特化した公立のSixth Formで、学生の約3〜4割がオックスフォードやケンブリッジ大学に進学するというロンドンの学校です。
入学には独自の筆記試験(12月)と面接(1月)があり、さらにGCSEの成績(8月発表)も一定基準を満たす必要があります。
夫と私はあえて口を出さず、学校選びは息子に一任しました。
情報収集から出願、試験、合格までをすべて自分で進めた経験は、彼にとって「自分の力で道を切り開く」大きな転機となりました。
数学専門のカリキュラムで大学進学へ
King’s College Maths Schoolでは、科目も数学中心に構成されています。
ASレベル(1年目の終わりに受ける試験)では「経済」または「コンピューターサイエンス」から選ぶのですが息子は「経済」を選択、Aレベルでは「応用数学・数学・物理」を履修しました。
このように、早い段階で専門を絞って学ぶイギリスの教育制度は、日本やアメリカの大学と比べて特徴的だと感じます。
Sixth Formで専門を深め、大学で3年間、大学院で1年間という流れが一般的です。
娘の学校選び ― 穏やかな進学準備
一方、娘はもう少し一般的なルートをたどりました。
Year11 の
自宅近くの公立のSixth Formを中心に、希望する科目を提供している学校を複数ピックアップし、Application(出願)を提出。
友人からの情報も大いに役立ったようです。
また、”オープンデイ(学校説明会)”に参加すると、校風や雰囲気がよく分かるため、学校選びにとてもおすすめです。
最終的な進学先はGCSEの結果次第で決まり、成績によっては科目変更を提案されることもあります。
費用と生活の変化
イギリスの State School(公立校) は授業料が無料です。
有料の課外活動や修学旅行がある場合もありますが、いずれも任意参加です。
息子はアルバイトをしながら自立心と時間管理能力を身につけていきました。
この2年間は、結果的に「大学進学のための準備期間」であり、「自立への第一歩」となりました。
家族の成長
駐在員として異国で思春期の子どもを育てるのは、簡単なことではありません。
夫と私は仕事に、子どもたちは学業に忙しく、最初の頃は「家族が健康で、笑顔で過ごしてくれればそれで十分」と思っていました。
幸いにも子どもたちは言葉の壁を乗り越え、多くの友人を作り、放課後は趣味を楽しむなど、心身ともに安定した生活を送っていました。
その積み重ねが、後に夫の早期退職とスムーズな教育移住につながったように思います。
日本では二人とも中学受験を経て中高一貫校に通っていたため、渡英当初の2年間は日本の学校を休学し、イギリスの生活が合わなかった場合には、いつでも日本の教育に戻れるよう準備していました。
イギリス滞在中は日本の勉強は行わず、現地の教育に集中。
塾にも通わず、「流れに身を任せ、異国での生活を楽しむ」ことを意識したことが、結果的に良い方向に働いたと感じています。
ロンドンで出会った人々からの学び
このように少しリラックスした気持ちで過ごせたのは、ロンドンで出会った友人たちのおかげだと思います。
私は渡英後すぐに現地企業で働き始め、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と共に過ごす中で、多様な価値観や生き方に触れてきました。
中にはウクライナやイスラエルなど、政治的に不安定な地域から移り住んできた方々もいます。
彼らとの会話を通じて、学歴や肩書き以上に大切なものがあることを実感し、いつの間にか「結果よりも過程を大切にする」考え方へと変わっていきました。
日々の生活の中で大変なこともありますが、ロンドンでの出会いは私にとって、かけがえのない学びの連続です。
まとめ
今回は、息子と娘それぞれのSixth Form選びについてご紹介しました。
GCSEの結果発表から約1か月後には新学期が始まり、Aレベルに向けた本格的な勉強がスタートします。
特に Sixth Form 1年目(Year 12)の成績は、大学出願時の「Predicted Grade(予測成績)」 に大きく影響するため、この1年間の取り組みが進路を左右します。
次回は、イギリス大学出願(UCAS) について、実際の経験をもとに詳しくお話ししたいと思います。
参考リンク
King’s College Maths School:公式サイト
学校評価サイト:OFSTED公式サイト

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